制作会社に任せきりにせず、院長やスタッフが自分でホームページの文章を書いている——小規模なクリニックや歯科医院では、珍しくない運用です。お知らせを出す、新しい自費メニューを載せる、症例を追加する。どれも診療の合間にできて、外注の待ち時間もありません。

一方で、自分で書いた文章は、自分では読み流してしまいがちです。患者さんに伝えたい気持ちで書いた一文が、医療広告ガイドラインの上では見直しが必要な表現になっていることもあります。

本記事では、厚生労働省 医療広告ガイドライン に基づき、自院で更新しているクリニックが、どの「更新の場面」で気をつければよいかを整理します。ルール全体を一から学ぶのではなく、いつもの更新作業のどこで立ち止まればよいかが分かることを目指しています。

本記事は一般的な注意点の整理です。個別の表現が違反に当たるかどうかは文脈によって判断が分かれます。判断に迷う場合は、医療広告ガイドラインに詳しい弁護士等にご確認ください。

自分で更新するクリニックの強みと、気づきにくい点

医療機関のホームページは、2018年の医療法改正以降、医療広告の規制の対象になっています(どこからが「広告」に当たるかは クリニックのホームページは「広告」扱い? で解説しています)。

自分で更新しているクリニックには、はっきりした強みがあります。

  • 直すのが早い:気になる表現を見つけたら、その日のうちに書き換えられる
  • 内容を一番よく知っている:治療の中身やリスクを、正確に書ける立場にある

その反面、気づきにくい点もあります。

  • 書いた本人は「伝えたいこと」を読んでしまう:文字どおりにどう受け取られるかより、込めた意図の方が頭に入る
  • 更新は少しずつ積み重なる:一つひとつは小さな追記でも、ページが増えるたびに見直しの対象が広がっていく
  • チェックする人が書いた人と同じ:第三者の目が入る機会が少ない

ガイドラインの知識が足りないというより、書く人と見る人が同じになりやすいことが、自院更新の一番の弱点だと言えます。

違反が入り込みやすい「更新の場面」6つ

ホームページ全体を毎回見直すのは大変です。そこで、「この作業をするときは一度立ち止まる」という場面を決めておくのがおすすめです。

更新の場面入り込みやすい表現公開前に見ること詳しくは
① お知らせ・ブログ「痛みのない治療」「必ず良くなります」効果や安全性を言い切っていないか誇大広告と判断される表現リスト
② 自費メニューの追加・料金改定「〇〇円〜」だけの表示、リスクの記載漏れ治療内容・標準的な費用・主なリスクや副作用が書かれているか限定解除4要件を完全解説、料金を載せるときのルール
③ 症例写真の追加写真だけを並べた症例ページ治療内容・費用・リスクなどの説明が写真と一緒にあるか症例写真は載せていい?
④ 患者さんの声・口コミの紹介「〇〇さんの声:すっかり良くなりました」治療の内容や効果についての体験談になっていないか患者の体験談・口コミは医療広告違反になる?
⑤ 院長・スタッフ紹介「地域で一番の実績」、広告できない資格名他院と比べて優れていると示していないか、資格名が広告できるものか比較優良広告とは?、専門医・認定資格の正しい表記方法
⑥ 疾患・治療の解説ページ「この治療で症状が改善します」治療の効果を言い切る書き方になっていないか誇大広告と判断される表現リスト

① お知らせ・ブログは「気軽さ」に注意

お知らせやブログは、もっとも気軽に書ける場所です。だからこそ、話し言葉のような勢いで「痛くない」「安心して受けられます」「必ず良くなります」と書いてしまうことがあります。

「絶対」「必ず」「100%」のような言い切りは、ガイドラインで問題になりやすい代表的な表現です。「痛みに配慮した方法で行います」のように、何をしているかを書く方向に寄せると、伝えたいことを保ったまま表現を整えられます。

② 自費メニューは「書くべきこと」が増える

自由診療のメニューを載せるときは、治療の内容、標準的な費用、主なリスクや副作用などを、あわせて書く必要があります(限定解除の要件)。新しいメニューを追加するときや、料金を改定するときは、価格だけを更新してリスクの説明が古いまま、あるいは抜けたままになっていないかを見てください。

③ 症例写真は「1枚追加するたび」に説明も

治療前後の写真は、治療内容・費用・リスクなどの説明とあわせて載せるのが前提です。最初の数件はきちんと書いていても、症例を追加していくうちに、写真だけのページが増えていくことがあります。写真を1枚追加したら、説明も1セット書く、と決めておくと抜けにくくなります。

④ 患者さんの声は、注意書きを添えても載せられない

治療の内容や効果についての患者さんの体験談は、ガイドラインで禁止されています。自由診療の費用や症例写真と違い、条件を満たせば載せられる、というものではありません。「個人の感想です」と添えても扱いは変わらない点に注意が必要です。

⑤ 院長・スタッフ紹介は「比べていないか」を見る

経歴や実績の紹介は、患者さんが医院を選ぶうえで大切な情報です。ただし「地域で一番」「日本有数の」のように、他院と比べて優れていると示す表現は、比較優良広告として問題になり得ます。また、専門医などの資格は、広告できるものに条件があります。

⑥ 解説ページは「効果の言い切り」を見る

疾患や治療の解説は、正確な情報を届ける大切なページです。ただ、「この治療で症状が改善します」のように効果を言い切ると、誇大な表現と受け取られることがあります。「改善が期待できる場合があります」「効果には個人差があります」など、実際の診療で患者さんに説明している言い方に近づけるのが目安です。

公開前に見る5つのこと

更新のたびに、公開ボタンを押す前に次の5つだけ確認してみてください。

  • 「必ず」「絶対」「100%」「痛くない」など、言い切る表現がないか
  • 「一番」「最多」「No.1」など、他院と比べる表現がないか
  • 患者さんの体験談(治療の内容や効果についての感想)が入っていないか
  • 自由診療なら、治療内容・標準的な費用・主なリスクや副作用が書かれているか
  • 症例写真なら、説明が写真と一緒に書かれているか

より細かく確認したいときは、医療広告ガイドライン チェックリスト【2026年版】 の74項目が使えます。

一度に全部直さなくていい

すでに公開しているページを見返すと、気になる箇所がいくつも見つかるかもしれません。忙しい診療の合間に、全部を一度に直す必要はありません。

おすすめは、優先順位をつけて少しずつ直すことです。

  1. 患者さんの体験談、事実と異なる内容、言い切りの表現(直すべきことがはっきりしているもの)
  2. 他院と比べる表現
  3. 自由診療ページの説明の不足、症例写真の説明の不足

週に数か所ずつでも、続けていけば確実に整っていきます。実際に、週1回のチェックメールを見ながら5か月かけて少しずつ直していった歯科医院の記録を ある歯科医院が5か月で53件を直した記録 にまとめています。

自分で更新しているクリニックは、見つけた箇所をすぐ直せます。その強みは、定期的に見てもらう仕組みと組み合わせることで、いちばん活きます。

書く人と見る人を分ける

自院更新の弱点は「書く人と見る人が同じになりやすい」ことでした。スタッフ同士で読み合う、時間をおいて読み返す、といった工夫も有効ですが、毎回続けるのは負担になります。

かかしAI は、登録したホームページをAIが定期的に巡回し、医療広告ガイドラインに照らして気になる表現を見つけて、「どこが・なぜ・どう直せるか」をお知らせします。自院で更新しているクリニックにとっては、書いた人とは別の目を、手間をかけずに置いておく方法になります。AIによる一次チェックなので、最終的な判断は専門家にご確認ください。

まずは無料プラン(2週に1回・5ページの自動巡回)で、自院のホームページにどんな指摘が入るかを確かめてみてください。

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まとめ

  • 自院で更新しているクリニックは、すぐ直せるのが強み。弱点は、書く人と見る人が同じになりやすいこと
  • お知らせ・自費メニュー・症例写真・患者さんの声・スタッフ紹介・解説ページの6つの場面で、一度立ち止まる
  • 公開前は5つの点だけ確認する。既存ページは優先順位をつけて少しずつ直す

毎回完璧を目指すより、更新のたびに少しずつ整えていく。そのほうが、自院で更新しているクリニックには続けやすいはずです。