医療広告ガイドラインに沿っているつもりのホームページでも、あらためて見直すと気になる表現はいくつも見つかります。かといって、一度に全部を直すのは現実的ではありません。

本記事では、かかしAIのモニターとしてご協力いただいている ある歯科医院のホームページで、5か月のあいだに何をどう直したかを、実際の巡回データをもとに紹介します。

医院が特定されないよう、医院名・地域・人名・製品名・料金は伏せ、引用している文も趣旨を変えない範囲で言い回しを変えています。


5か月で、指摘のあった表現のうち53件が直った

この医院のホームページ(約50ページ)を、かかしAIが週1回、1回あたり10ページずつ巡回しました。結果は毎回メールで届き、サイトの管理担当者がそれを見て、直せるところから直していく、という進め方です。

項目件数
集計期間2026年5月〜10月(巡回26回)
指摘された表現(重複を除く)165件
修正・削除を確認できた指摘53件(19ページ)
うち重要度 HIGH29件
最新の巡回で残っている指摘37件(うち HIGH 2件)

直した53件のうち、半分以上が重要度 HIGH の指摘でした。重いものから手を付けていった結果です。

直すペース

修正が巡回で確認された月ごとの件数は次のとおりです。

月修正を確認した件数
6月2件
7月9件
8月19件
9月19件
10月以降4件(修正済み・次回の巡回で確認予定)

最初の1〜2か月は件数が少なく、夏以降は毎月20件近いペースになりました。メールが届くたびに数か所ずつ直す流れができると、ペースが安定します。


どんな表現を、どう直したか

ここからは、実際に直した表現をタイプ別に紹介します。歯科医院のホームページでよく見かける表現ばかりです。

1. 効果をうたう「〜を目指します」「〜が期待できます」

ホワイトニングや矯正のページでは、効果を約束する書き方が指摘の中心でした。

修正前:

  • 「短い期間で歯の色の改善を目指します」
  • 「治療にともなって、体の不調の改善も期待できます」

修正後:

  • 効果を述べる一文は削除
  • 「症例によっては、体の不調の改善が報告されています」

「目指します」は控えめに見えますが、得られる効果を示している点では断定に近い扱いになります。効果の説明が必要な場合は、個人差があることや、改善の報告にとどまることがわかる書き方にします。詳しくは誇大表現の考え方にまとめています。

なお、「改善が報告されています」に直した文も、最新の巡回ではまだ中程度(MED)の指摘として残っています。表現を弱めるだけでは足りない場合もある、という例です。

2. 不安をあおる言い回し

予防や早期治療をすすめる文章に、不安を強める表現が混ざっていました。

修正前:「痛みが出てからでは手遅れになることもあります」

修正後:「進行すると、治療の範囲が大きくなる場合があります」

伝えたいこと(早めの受診をすすめる)は変えずに、事実として言える範囲の書き方に置き換えています。

3. 「最先端」「〇〇レベル」などの最上級・比較の表現

修正前:

  • 「最先端の再生医療を行っています」
  • 「〇〇並みの設備で衛生管理を行っています」
  • 「他の治療法と比べて、患者さまの負担が少ない治療法です」

修正後:

  • 「再生医療の手法を用いた治療を行っています」
  • 「待合室・診療室ともに衛生管理に取り組んでいます」
  • 比較の一文は削除

「最先端」「〇〇レベル」は、客観的に裏付けにくい優位性を示す表現です。他の治療法との比較も、比較優良広告として指摘されやすいポイントです。

4. 「痛くない」「痛みの少ない」

修正前:

  • 「痛くない・優しい・丁寧な治療を心がけています」
  • 「痛みの少ない治療を基本としています」

修正後:

  • 「痛くない」を含む一文は削除
  • 「痛みが心配な方には、治療前に十分にご説明しています」

痛みの感じ方には個人差があるため、「痛くない」は効果の断定にあたります。医院の姿勢として伝えたいのは「配慮していること」なので、そちらを主語にすると無理なく書き換えられます。

5. 権威づけ・メディア露出の強調

セミナー告知のお知らせで、登壇者の紹介にメディア出演を強調する言葉が入っていました。

修正前:「テレビや雑誌で活躍中の医師が登壇」

修正後:「〇〇クリニックの医師が登壇」(肩書きだけを記載)

6. 未承認医薬品を使う自由診療の説明(いちばん大きな修正)

この医院では、国内で未承認の医薬品を使う自由診療のメニューを案内していました。当初は「この治療で期待できること」として効果を箇条書きで並べていましたが、これを全面的に書き直しました。

修正前:期待できる効果(症状の軽減、見た目の変化など)を5項目ほど列挙

修正後:効果の列挙をやめ、次の説明を掲載

  • 未承認医薬品であること
  • 入手経路(医師の判断による個人輸入であること)
  • 同じ成分の国内承認医薬品の有無
  • 海外での承認状況と安全性に関する情報
  • 医薬品副作用被害救済制度の対象外であること
  • 保険が使えない自由診療であることと、標準的な費用
  • 主なリスク・副作用

未承認医薬品を使う治療は、原則として広告できる事項に含まれません。ホームページで情報提供する場合は、限定解除の要件を満たしたうえで、上のような説明を添える必要があります。あわせて、ほかのページに散らばっていた治療名の表記も整理し、説明を備えたページに案内を集約しました。


「AIの指摘が消えた」と「直った」は別のもの

今回の集計では、指摘が消えたかどうかだけでなく、いまのホームページを実際に開いて、指摘された文が本当に消えているか を1件ずつ確かめました。

すると、文はそのまま載っているのに、最近の巡回では指摘に挙がらなくなったものが 60件 ありました。

区分件数
文を直した・削除した(=修正)53件
文はそのままだが、指摘に挙がらなくなった60件
文が残っていて、指摘も残っている37件
画像内の文字への指摘(自動では確認できず集計外)15件

指摘に挙がらなくなった理由は2つあります。ひとつは、判定のもとにしている厚生労働省の資料(ガイドラインのQ&Aや事例解説書)の改訂にあわせて、判定基準を更新したこと。もうひとつは、AIの判定には揺れがあり、同じ文でも回によって指摘したりしなかったりすることです。

ですから、ツールの指摘件数が減っていても、それだけで「直った」とは言えません。直したかどうかは、ページの文そのもので確かめる必要があります。継続チェックの結果を見るときは、件数の増減よりも 「どの文を、どう直したか」の記録 を残しておくことをおすすめします。


一度に全部ではなく、毎週すこしずつ

この医院の5か月から見えたポイントをまとめます。

  1. 重いものから直す。 直した53件のうち29件が HIGH でした。届いたメールで HIGH から見ていけば、限られた時間でも効果の大きい修正から進められます。
  2. 書き換えの型ができると速くなる。 「目指します」「痛くない」「最先端」のように、同じタイプの表現は直し方も似ています。最初の数件で型ができると、夏以降のように毎月20件近いペースで進みます。
  3. 新しいページも見落とさない。 お知らせやブログは増えていきます。定期的に巡回していれば、新しく足したページの表現も確認できます。
  4. 最終判断は専門家に。 AIのチェックは一次スクリーニングです。特に自由診療・未承認医薬品のような判断の難しい項目は、医療広告に詳しい弁護士等の専門家に確認してください。

医療広告ガイドラインへの対応は、一度で終わる作業ではありません。ページは増え、基準も改訂されます。週に一度、届いたメールを見て数か所を直す。それを続けた結果が、5か月で53件でした。

かかしAI は、登録したホームページを定期的に巡回し、結果をメールでお届けします。無料プランでも、2週に1回・5ページずつ、期間の制限なくお使いいただけます。

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