クリニック・歯科医院のホームページを新規に作る、あるいはリニューアルする際、多くの院長・事務長は制作会社に依頼します。ただし医療系のホームページは、一般的な企業サイトやLPとは違い、医療法6条の5に基づく「医療広告」として規制対象になります。デザインや実績が優れた制作会社であっても、医療広告ガイドラインへの理解が伴っているとは限りません。
本記事では、制作会社に依頼する前・契約する前に確認しておきたい10のポイントを整理します。制作会社側の担当者にとっても、自社の提供水準を見直す参考になるはずです。
本記事は一般的な確認観点の整理です。個別の契約内容・表現の適法性については、医療広告に詳しい弁護士等にご確認ください。
なぜ「普通のLP制作会社」では足りないことがあるのか
一般的なLP制作会社が得意とするのは、コンバージョン率を上げる訴求表現です。「No.1」「圧倒的な実績」「満足度98%」といった強い言葉は、一般業種では効果的な訴求ですが、医療広告では比較優良広告や誇大広告として問題になり得る表現です。
医療広告に不慣れな制作会社に依頼すると、集患力の高いコピーがそのままガイドライン違反のリスクを抱えたページになってしまうことがあります。発注前に、次の10項目を確認しておくと、こうしたミスマッチを避けやすくなります。
確認すべき10のこと
1. 提案・見積もりの段階で医療広告ガイドラインへの言及があるか
提案書や打ち合わせの中で、ガイドラインや医療法6条の5への言及が一切ない場合、制作フローに組み込まれていない可能性があります。
2. 過去の医療系制作実績が、実際にガイドラインに沿っているか
「医療系の実績多数」という説明だけでなく、実際の納品サイトを見せてもらいましょう。比較表現や体験談の扱いなど、チェックリストの主要項目に照らして確認すると判断しやすくなります。
3. 「限定解除」の要件を理解しているか
自由診療のページで費用・治療内容・主なリスクを明示する限定解除4要件を知らずに、通常広告の範囲を超えた表現を使ってしまうケースがあります。自由診療メニューがある場合は特に確認が必要です。
4. 症例写真・ビフォーアフターの扱いを理解しているか
症例写真は掲載条件(限定解除4要件+治療内容・費用・リスクの付記)を満たさないまま、演出重視で提案してくることがあります。
5. 体験談・患者の声の扱いを理解しているか
患者の体験談・口コミは、限定解除の対象外で掲載自体が不可とされています。「お客様の声」という一般的なコンテンツ設計をそのまま持ち込んでこないか確認しましょう。
6. 比較優良表現を安易に提案してこないか
「地域No.1」「症例数最多」のような表現は、集患訴求として提案されがちですが、多くの場合比較優良広告に該当するおそれがあります。
7. 公開後の更新・追加ページの責任範囲が明確か
納品後にブログやお知らせを追加していく中で、新しい表現がガイドラインに抵触することがあります。追加ページの確認を誰が担うのか(制作会社なのか、院内なのか)を契約前に取り決めておくべきです。
8. 契約書に免責・修正対応の条項があるか
「納品物の適法性を制作会社が保証するものではない」旨の記載と、指摘があった場合の修正対応(対応範囲・期限・追加費用の有無)が契約書に明記されているかを確認しましょう。曖昧なまま進めると、公開後にトラブルになりやすい部分です。
9. 公開後の継続的なチェック体制があるか
ホームページは作って終わりではなく、更新のたびに新しい表現が生まれ続けます。一度整えたサイトも、ネットパトロールなどの監視対象であり続けます。公開後も定期的に点検する仕組みがあるかどうかは、依頼前に確認しておきたい点です。
10. 行政指導・削除要請が来た場合の対応フローを説明できるか
万一指摘を受けた場合、どのようなフローで対応するのか(誰が窓口になり、どの程度の期間で修正するのか)を事前に説明できる制作会社は、医療広告に対する理解度が高い傾向にあります。
「薬機法対応」と「医療広告ガイドライン対応」は別物
制作会社の中には「薬機法対応スタッフ在籍」を強みとして掲げているところもあります。ただし薬機法(医薬品医療機器等法)は医薬品・医療機器・化粧品等の広告規制であり、クリニックのホームページに適用される医療法6条の5・医療広告ガイドラインとは根拠法が異なります。美容医療など両方が関係する領域もありますが、「薬機法に詳しい」ことが「医療広告ガイドラインに詳しい」ことの証明にはならない点には注意が必要です。
まとめ
- 医療系ホームページは医療法6条の5に基づく「医療広告」であり、一般的なLP制作の感覚だけでは対応しきれないことがある
- 実績・契約条項・公開後の運用体制まで含めて、発注前に確認しておくと後のトラブルを避けやすい
- 「薬機法対応」と「医療広告ガイドライン対応」は別物であることも押さえておきたい
制作会社に依頼した後も、ホームページは更新のたびに新しい表現が加わり続けます。かかしAI は、公開後のサイトをAIが定期的に巡回し、医療広告ガイドライン上のリスクを検出・お知らせするサービスです。納品後の運用体制の一つとして、制作会社と院内の双方に活用いただけます。
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