「うちのサイトくらいの表現なら、そこまで厳しく見られないのでは」── そう感じている院長・事務長は少なくないかもしれません。実際のところ、審査の対象になったサイトのうちどれくらいが違反と判定されているのか、厚生労働省が公表している「ネットパトロール事業」の資料から、印象ではなく数字で確認してみます。

審査対象の7割超で違反が確認されている

厚生労働省「第20回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」資料2-1「ネットパトロール事業について(令和3年度)」によると、令和3年度(2021年度)の審査結果は以下の通りです。

区分審査件数違反あり違反なし
通報受付分1,001 サイト(1,383 施設)748 サイト(1,087 施設)253 サイト(296 施設)
能動監視分122 サイト(138 施設)99 サイト(113 施設)23 サイト(25 施設)
合計1,123 サイト(1,521 施設)847 サイト(1,200 施設)276 サイト(321 施設)

通報受付分だけで見ると 748 ÷ 1,001 = 約 74.7%、能動監視分を含めた全体でも 847 ÷ 1,123 = 約 75.4% のサイトで、何らかの違反が確認されています。

これは「通報・審査の対象になったサイト」に限った数字であり、日本国内の医療機関サイト全体の違反率ではありません。ただし、通報や能動監視によって一度目を付けられたサイトの多くには、実際に何らかの指摘事項が見つかっているという実態が読み取れます。

1サイトあたり平均4.6件の違反

同資料では、違反が確認された847サイトについて、違反箇所の合計は3,886件、1サイトあたり平均4.6件の違反が確認されたとされています。1箇所を直せば終わり、というケースは少なく、複数の表現が同時に指摘される傾向があるということです。

診療科別に違反の中身を見ると、傾向に違いがあります。

分野最も多い違反類型割合
美容医療広告が可能とされていない事項の広告74%
歯科広告が可能とされていない事項の広告54%
歯科誇大広告15%

美容医療では、自由診療のリスク・副作用の記載不足など「広告可能事項の限定解除要件を満たさないまま掲載してしまっている」ケースが目立ちます。歯科では同様の傾向に加えて、インプラントセンター等の「〇〇センター」表記を中心とした誇大広告の比率が比較的高くなっています。

通知後、どのくらいで改善に至るか

違反が確認されると医療機関へ通知が行われますが、その後の改善状況も公表されています。

  • 通知から 3ヶ月以内で約8割 が改善(広告中止を含む)に至る
  • 通知から 6ヶ月以内で約9割 が改善に至る
  • 残り 約1割は改善までに時間を要する、または継続対応となる

つまり大半のケースは、通知を受けてから数ヶ月以内に是正すれば完結します。一方で、指摘に長期間対応しないまま残ってしまう事例も一定数存在し、そうしたケースは自治体への情報提供を経て、行政指導・中止命令へと進む可能性があります(中止命令・是正命令に従わない場合は医療法に基づき6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象になり得ます)。

ここから言えること

公開データから読み取れるのは、次の2点です。

  1. 一度審査対象になると、7割以上の確率で何らかの指摘事項が見つかる ── 「自分のサイトは大丈夫だろう」という感覚と、実際の審査結果には距離がある可能性がある
  2. 通知後、早期に対応すれば大半は数ヶ月で完結する ── 慌てる必要はないが、放置は禁物

裏を返せば、通報や能動監視で見つかる前に、自院で違反候補に気づいて直しておくことができれば、この統計の対象にすらならずに済みます。かかしAIでは、登録したサイトをAIが定期的に巡回し、こうした違反類型に該当しそうな表現を検出・通知しています。あくまで一次スクリーニングであり、最終的な判断は専門家にご確認いただく前提ですが、通知が届く前に気づく手段の一つとして活用いただけます。

まとめ

  • 厚労省ネットパトロール事業(令和3年度)では、審査対象となった1,123サイトのうち847サイト(約75.4%)で違反が確認された
  • 違反1サイトあたり平均4.6件。美容医療・歯科ともに「広告可能事項の限定解除要件不足」が最多の違反類型
  • 通知から3ヶ月以内で約8割、6ヶ月以内で約9割が改善に至るが、放置すると自治体経由の行政指導・中止命令に発展し得る

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出典・参考資料

※ 本記事の数値は令和3年度(2021年度)実施分のものであり、最新年度の実態とは異なる場合があります。本記事は一般的な情報整理を目的としたものであり、個別案件の法的判断は弁護士または医療広告コンサルタント等の専門家にご相談ください。